IMMポジションからみる資金動向
今週は懸念材料とされていたギリシャ問題を筆頭に売り込まれていたユーロが、EUとしての銀行資本注入での協調やEFSFの大幅拡大の議論に進みつつあるとの期待で反発しました。しかしながら、ユーロ上昇局面での戻り売りのエネルギーは引続き強く、上げ幅も限定的で下落トレンドが終息し、上昇トレンドへ転換したわけではありません。その一方で、リーマンショック以降世界経済の牽引役となってきた中国は、金融の持続的引き締め策など一連のマクロ政策の実施により、今年に入り中国経済は減速傾向となっています。
故意的な景気減速といえますが、直近では大企業データを中心とする中国物流購買連合会が発表した“9月購買担当者指数(PMI)”は前月から上昇しましたが、景気の影響を受けやすい民間中小企業を含んだHSBCの調査した9月PMIは49.9となり、景気の良し悪しの節目となる50を3ヶ月連続で下回っています。今週、中国市場は「国慶節」で休場ですが、取引が行われている香港市場は欧州問題懸念などを背景に続落して始まっています。
唯一、景気減速の影響が少なく、下落局面では買い意欲が見受けられていた豪ドルですら、主要国の経済悪化につられた下落スピードの速さで手が出しにくくなっている感があり、マーケットでは「グローバルスローダウン」というテーマが台頭しています。
こういった世界景気の状況を踏まえ、IMMポジションを見てみましょう。
IMM(International Monetary Market)とは、シカゴマーカンタイル取引所にある国際通貨先物市場のことで、CFTC(全米先物取引委員会)は取引所に未決済ポジションの公表を義務付けています。取引所は毎週火曜日のNY取引終了後の未決済ポジション(対ドル)をCFTCに報告、CFTCはそれを集計して当該週の金曜日のNY取引終了後に公表しています。未決済ポジションの中には商業ポジションと非商業(投機筋)のポジションがあり、非商業ポジションは投機筋の動向を見るために注目されています。
以下は、非商業ポジションを売残ポジションと買残ポジションの差を先週と比べて算出した“増減枚数”を金額ベースに引き直したものをわかりやすくまとめてみました。
カナダドル
ショートポジションが先週比15,092枚も大幅に増加し、金額ベースでは15億920万カナダドル増加している。
(米ドルのロングは金額ベースでは15億3998万ドル分増加している)
豪ドル
ロングポジションが先週比17,928枚も大幅に減少し、金額ベースでは17億9280万豪ドル分減少している。
(米ドルのロングは金額ベースでは16億3126万ドル分増加している)
NZドル
ロングポジションが先週比3,974枚減少し、金額ベースでは3億9740万NZドル分減少している。
(米ドルのロングは金額ベースでは3億1319万ドル分増加している)
資源国や新興国のショートポジションの増加が目立ちリスク回避傾向となっていることが如実に現れている。
日本円
ロングポジションが先週比3,295枚減少し、金額ベースでは411億8750万円分減少している。
(米ドルのロングは金額ベースでは5億3629万ドル分増加している)
ファンディング通貨として買われていた円もロングポジションが減少しており、投機資金の手仕舞いが伺える。
ユーロ
ショートポジションが先週比3013枚増加し、金額ベースでは3億7662万ユーロ分増加している。
(米ドルロングは金額ベースでは5億1134万ドル分増加している)
よって、米ドルの算出5通貨に対するポジションはロングポジションが先週比43,302枚に及ぶ大幅増加となり、金額ベースでは約45億ドル増加している。ギリシャン問題などを背景にユーロは当然ショートポジションが増加している一方、米ドルはロングポジションが年初来最大規模に膨らんでおり、少なくともギリシャの具体的救済案が決定するまではリスク回避通貨として、マーケットではドル買いが継続すると思われる。
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